処女膜切開術 ・膣拡張術
処女膜とは

処女膜とは、膣の入り口を部分的に覆う薄い粘膜のひだです。発生学的には、胎児期に膣が形成される過程で残った組織の一部であり、生理的な機能は特にありません。
処女膜の形や厚さは個人差が大きく、生まれつき大きく穴が開いている人もいれば、処女膜がほとんどない人もいます。処女膜が完全に閉じている場合は処女膜閉鎖症とされることもあり、月経血の排出ができないため治療が必要になることもあります。
処女膜はその名前からも処女である証拠として認識されることがありますが、こちらは間違いです。処女膜はそもそもない人がいたり運動(バレエや乗馬など)やタンポンの使用で傷ついたりすることもあります。
処女膜切開術とは

処女膜切開術は、処女膜が性行為やタンポンの使用などで破れにくい場合や、処女膜閉鎖症・隔壁型処女膜などの医学的問題がある場合に行われる外科的処置です。特に、処女膜閉鎖症では月経血が体内に溜まり、強い下腹部痛や健康リスクを引き起こすため、手術が必要です。
一般的な手術方法としては、局所麻酔または静脈麻酔を用い、処女膜の一部を切開して開口部を作ります。場合によっては、処女膜の一部を縫合しながら形を整えることもあり、手術時間は10〜30分程度で、入院の必要はなく日帰り手術が可能です。
手術当日は麻酔が効いているためほとんど痛みは感じません。その後は処方された鎮痛剤でコントロールできる程度の痛みです。微量の出血が数日続くことがありますが、通常は1週間ほどで回復します。感染予防のため処方された抗生剤を服用し、数週間は入浴や激しい運動を控えることが推奨されます。
処女膜切開術のメリット・おすすめの方

処女膜切開術のメリット
性行為やタンポン使用時の痛みや違和感を軽減できる
処女膜切開術は、性行為やタンポン使用時に感じる痛みや違和感を軽減する効果があります。処女膜の形状や硬さの個人差により、性行為中に過度な刺激を受けやすかったり、タンポン挿入時に不快感が生じるかもしれません。
そういったときに処女膜切開術を行うことで開口部が拡大し、柔軟性が向上します。これにより経血の排出もスムーズになり、日常生活や衛生管理が改善されるとともに、精神的な安心感も得られる点が大きなメリットです。
処女膜閉鎖症が解決できる
処女膜閉鎖症は処女膜が完全に閉じているため、月経血が正常に排出されず腹痛や月経困難、さらには子宮内膜症や感染症などのリスクが高まる状態です。処女膜切開術を行うことで適切な開口部を確保し、月経血の排出ができるようになります。
これによりこれまでの痛みや不快感が解消され、症状の改善とともに生活の質の向上が期待できるため、医学的な問題の根本的な解決につながります。
術後のダウンタイムが短い
処女膜切開術は局所麻酔下で実施されるため、手術時間が短く身体への負担が軽減されます。術後は軽度の痛みや出血があるものの、回復期間は比較的短く、通常は1週間以内に日常生活へ復帰可能です。
入院の必要がなく短時間で治療が完了するため、仕事や学業、家庭生活への影響も最小限に抑えられ、安心して受けられる治療法といえます。
処女膜の形状による不快感がなくなる
処女膜の形状には個人差があり、場合によっては太く硬い、あるいは複雑な形状になっているため性行為やタンポン使用時に不快感や痛みを感じることがあります。処女膜切開術ではこれらの形状を改善し、適切な開口部を確保することで、摩擦や圧迫による違和感が軽減されます。
結果として痛みのリスクが減少し、日常生活や性的活動がより快適に行えるようになる点が大きなメリットです。
処女膜切開術がおすすめの方
- 月経血の排出障害がある方
- 性交時やタンポン使用時に痛み・違和感を感じる方
- スポーツや激しい運動で不快感を覚える方
- 処女膜に関する体の状態が精神的負担となり心理的なストレスや不安が大きい方
- 通常の形状とは異なる処女膜が原因で生活の質が低下している方
処女膜切開術のリスク・副作用・ダウンタイム

感染症のリスク
処女膜切開術は比較的安全な手術ですが、感染症のリスクは完全には排除できません。
感染予防のため手術前後の抗生物質の使用や、徹底した衛生管理を心がけています。また、術後は傷口のケアや清潔を保つことが重要です。痛み、膿、発熱、腫れ、発赤などの感染兆候が現れた場合には、速やかにご相談ください。
痛みや不快感
処女膜切開術後、手術部位の治癒過程で一時的な痛みや不快感を感じる場合があります。これは、切開による局所の炎症や神経の刺激が原因です。局所麻酔の効果が切れる前に鎮痛剤などの内服を推奨します。
鎮痛剤を服用しても痛みが継続する場合は、感染や合併症も疑われるため、速やかにご相談ください。
出血
処女膜の一部または全部を切開するため、手術中や術後に軽度の出血が生じることがあります。多くの場合、出血量は少なく自然に止まることがほとんどですが、人によっては数日間、少量の出血が続くこともあります。
瘢痕形成や癒着
処女膜切開術の術後、稀に瘢痕(はんこん)形成や癒着が起こることがあります。瘢痕とは、傷が治癒する過程で硬い組織が形成されることを指し、場合によっては違和感や軽度の痛みを引き起こすことがあります。
また、処女膜の一部が癒着して再び開口部が狭くなるケースもあり、性行為やタンポン使用時に不快感が生じるかもしれません。瘢痕形成や癒着を防ぐためには、術後の適切なケアが大切です。
施術の流れ
1
ドクター診察、カウンセリング
施術前には、経験豊富な医師が入念にカウンセリングを行います。患者様それぞれのお悩み・症状をしっかりと確認し、最良の治療内容を決定します。
2
血液検査
治療が確定したら、施術前に血液検査を行い、健康状態をチェックします。通常、検査結果の提示まで数日程度かかりますので、結果を確認後に施術日を調整します。
※症状や施術内容、ご希望によっては、診察当日に施術を行うケースもあります。
3
撮影
施術の経過を確認するための撮影を行います。医師、または女性スタッフが行いますのでご安心ください。
4
消毒・麻酔
施術当日、体調を確認し、問題がなければ施術衣に着替えていただき、治療を開始します。局所麻酔、静脈麻酔、笑気麻酔、麻酔クリームなどを患者様のご要望に合わせて使用することも可能です。
5
施術
麻酔の効果を確認した後、施術を開始します。所要時間は約1時間程度です。
6
終了
施術後は、リカバリールームで麻酔が覚めるまで安静にしていただきます。お帰りまで看護師が付き添い、術後の注意事項を説明します。
※施術後数日間は、微量の出血がみられることがありますので、ナプキンやガーゼを使用してください。
膣拡張術とは

膣拡張術とは、膣の拡張するための手術です。加齢や病気などが原因で膣が小さくなり、指が入らないほどの状態になったり、先天的に膣が小さかったりする場合があり、こうした状態を放置すると、子宮や膣の検査や疾患の発見に支障が生じたり、性行為ができなくなることがあります。
膣拡張術は、膣が小さくなってしまった方や、膣が閉塞されている方、膣の形状に異常がある方などが対象となります。手術によって、膣を拡張し、正常な大きさに戻すことが可能で、手術後のリハビリによって性行為が問題なく行えるようになることも期待できます。
※生まれつき膣口が低形成(膣口が極小)においては、ある程度の確率で膣内や子宮に奇形を伴う場合が散見されます。その場合、膣内の奇形改善術などを追加でオススメする場合がございます。奇形を放置しておくと妊活に支障がある場合があるので、早めの受診をオススメいたします。
膣拡張術のメリット・おすすめの方

膣拡張術のメリット
タンポンの挿入や婦人科検診が楽になる
膣拡張術を受けることで、膣の開口部が適切に広がり、柔軟性が向上するため、タンポンの挿入や婦人科検診がスムーズに行えるようになります。膣が狭い場合は、タンポンが入りにくかったり、異物感や痛みが出てしまったりすることがありますが、膣拡張術によりこれらの不快感が軽減されます。
また、婦人科検診時の内診や器具の挿入時にも痛みを感じにくくなり、定期的な健康チェックを受けやすくなる点もメリットです。
閉塞感や不快感の減少
膣拡張術を受けることで膣の開口部が広がり、柔軟性が向上するため、閉塞感や不快感が軽減されます。膣が狭いと、日常生活の中でも圧迫感を感じたり、性行為やタンポン使用時に違和感を覚えたりするかもしれません。
特に、ホルモンバランスの変化や加齢により膣が萎縮すると、乾燥や痛みが生じやすくなります。膣拡張術によって膣の弾力が回復し、適度な広がりを保つことでこうした不快感が解消され、より快適な生活を送ることができます。当院では、さらに再生医療を組み合わせることで膣の若返りを促進しております。
出産後の回復を助ける
出産後は膣の状態が大きく変化し、膣の弛緩や逆に過度な引き締まりが生じることがあります。特に、膣が過度に収縮してしまうと、性交時の痛みや違和感を引き起こし、日常生活にも影響が出てしまうこともあります。
膣拡張術を受けることで膣の柔軟性を回復し、適度な広がりを取り戻すことが可能です。これにより、性交時の痛みが軽減され、出産後の身体の変化に適応しやすくなります。
また、膣内の血流が改善されることで、膣の健康維持にも役立ち、より快適な生活を送れるようになるでしょう。
膣拡張術がおすすめの方
- 萎縮性膣炎(膣内の老化・劣化)の方
- 膣狭窄症の方
- 性行為時に強い痛みを感じる方
- 婦人科検診(膣内検査)が難しい方
- 膣の弾力が低下している方
- 婦人科手術や放射線治療の影響で膣が狭くなり機能回復を希望する方
- 初めての性行為に向けて痛みを軽減し快適に行いたい方
ダイレーター(膣拡張器) の方法
ダイレーターを使用する方法
ダイレーター は、膣の中に挿入され、膣を徐々に拡張していくものです。ダイレーター は、自宅で使用することができます。
手術と比べてリスクが少なく、費用も手術よりも抑えられます。また、自宅で簡単に使用できるため、手軽に膣の広さを改善することが可能です。
ただし、ダイレーターでは改善しきれない膣の症状もございますので、適応は医師と相談して決めます。ダイレーターの使用方法や期間については、医師の診察により専門のスタッフが指導いたします。
手術による膣の拡張法
手術による膣の拡張法は、膣壁に切開を行い、膣を拡張していく方法です。手術時間は、手術方法によって異なりますが、通常は30分〜1時間程度です。
手術後は、腫れや痛み、出血などの症状が現れることがありますが、通常、数日で軽減していきます。
なお、手術後は適切なアフターケアが必要です。アフターケアとしては、以下のようなものがあります。
手術後のアフターケア
- 手術後の経過観察
- 傷口の消毒
- 腫れを抑えるための冷却処置
- 抗生物質の処方など
手術後の注意点
性行為や激しい運動は、手術後2〜4週間程度は避けるようにしましょう。また、傷口周辺を清潔に保つことが重要です。手術後の回復期間は、人によって異なりますが、通常は2週間から1ヶ月程度です。
※手術は基本的には当日行っておりません。当日手術希望される場合はクリニックにご連絡下さい。
膣拡張術のリスク・副作用・ダウンタイム

出血
膣拡張術の術後、軽度の出血が数日間続くことがあります。これは、手術によって膣の粘膜が切開または伸展されるためで、特に動いた際や排尿時にわずかな血が混じることがあります。
通常、出血は時間とともに自然に治まりますが過度な出血が続く場合は、感染や傷の開きの可能性があるため、速やかに医師に相談してください。
また、術後しばらくはナプキン(天然素材)を使用し、患部を清潔に保つことで感染予防にもつながります。
術後の違和感や軽度の痛み
術後は膣の開口部や内部に軽度の痛みや違和感を感じることがあります。これは手術による組織の刺激や腫れが原因であり、通常は数日で軽減します。
痛みの程度には個人差がありますが、多くの場合、処方された鎮痛剤を服用することでコントロール可能です。過度な刺激を避けるため、術後しばらくは激しい運動や自転車に乗るなど、幹部を圧迫する行為を控えるようにしましょう。
一時的な排尿時の違和感
手術後、膣周辺の粘膜が敏感になるため一時的に排尿時に刺激や軽い痛みを感じることがあります。これは、膣の粘膜が手術の影響で腫れたり、微細な傷があったりすることが原因であり、通常は数日で改善します。
排尿時のしみるような感覚を軽減するために、水分を多めに摂取し、尿を薄めることがおすすめです。また、感染予防のためにもトイレ後の清潔なケアが重要です。違和感が長引く場合や排尿時の痛みが強い場合は、膀胱炎などのリスクもあるため、医師に相談しましょう。
感覚の変化
膣拡張術後、一時的に膣内の感覚が変化することがあります。これは、膣の組織が手術によって調整されるため、一時的に違和感を覚えることがあるためです。
膣の締まり具合や圧迫感に変化を感じることがありますが、ほとんどの場合、時間の経過とともに馴染んでいきます。通常、数週間から1ヶ月程度で自然な感覚に戻ります。
しかし、違和感が続く場合や性行為時に不快感が残る場合は、医師に相談して適切なケアを受けるようにしましょう。
料金
処女膜切開術・膣拡張(性交痛改善)の料金
処女膜切除術 | 190,000円(税込) |
膣拡張術 | 660,000円(税込) |
膣口形成 | 440,000円(税込) |
ダイレーター指導 | 44,000円(税込) |
性交痛改善セット – 膣萎縮症改善術 (膣拡張術+膣口形成+ダイレーター指導) | 1,000,000円(税込) |
性交痛改善セット – 膣萎縮症改善術+自己血上清液シングル | 1,250,000円(税込) |
性交痛改善セット – 処女膜強靭症改善術 (処女膜切除術+膣壁形成+ダイレーター指導) | 434,000円(税込) |
性交痛改善セット – 膣口低形成改善術(処女膜強靭症解除術+低形成解除術(膣口形成込み、主に拡大術)+会陰皮膚解除+ダイレーター指導) | 1,000,000円(税込) |
膣のリジュビネーションセット(膣拡張術+自己血上清液シングル+膣ヒアルロン酸4本+ダイレーター指導) | 1,400,000円(税込) |
※別途、麻酔代・血液検査代がかかります。(費用はこちら)
※基本的には当日手術は行っておりません。当日の手術希望される場合はクリニックにご連絡ください。
※当院では性転換手術をされた男性にも上記治療で診察が可能です。
よくある質問

手術は痛みを伴いますか?
処女膜切開術や膣拡張術では、局所麻酔や場合によっては静脈麻酔が使用されるため、手術中に強い痛みを感じることはほとんどありません。ただし、麻酔の効果が切れた後に軽度の痛みや違和感を感じることがあります。
術後の痛みは通常、軽度から中程度であり、処方された鎮痛剤を服用することで和らげることができます。また、膣の腫れや軽い圧迫感を感じることもありますが、これらは数日から1週間程度です。
手術後に傷跡は残りますか?
処女膜切開術や膣拡張術は粘膜部分に対する手術であり、傷の治癒が比較的早いため、目立つ傷跡が残ることはほとんどありません。手術後は軽い腫れや炎症が見られることがありますが、通常は1〜2週間程度で落ち着きます。
ただし、体質によっては瘢痕(傷跡)が残ったり、組織が癒着する可能性があります。そのため、術後のケアを適切に行い、医師の指示に従うことが重要です。
万が一、違和感が長期間続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
将来的に出産や性行為に影響はありますか?
処女膜切開術や膣拡張術は、膣の柔軟性を高めたり開口部を広げる目的で行われるため、基本的に出産や性行為に悪影響を及ぼすことはありません。むしろ、膣の狭さによる痛みや違和感が改善されることで、より快適に性生活を送れますし、硬い靭帯を取り除くことで出産時にはスムーズな分娩につながる可能性もあると思われます。
また、出産時にも膣が適切に伸展するため、特別な問題が生じることは少ないとされています。ただし、個人差があるため、妊娠・出産を予定している場合は、事前に医師と相談することが望ましいです。
手術後、すぐに性行為は可能ですか?
処女膜切開術や膣拡張術の後は、手術部位が完全に回復するまでの期間が必要となります。通常、性行為は術後2〜4週間程度控えるようにしましょう。
これは、手術部位がまだ敏感であり、刺激を受けると痛みや出血を引き起こす可能性があるためです。また、感染予防の観点からも、膣内の傷がしっかりと治癒するまでは、無理に性行為を行わない方が安全です。